ある日のこと。貧しい古道具屋さんが山を歩いていると、罠にかかって泣いているタヌキを見つけました。
「おお、かわいそうに。さあ、もう危ないところへ行くのではないよ」
古道具屋さんは、優しく罠を外してタヌキを逃がしてあげました。
数日後、タヌキは恩返しのために立派な『茶釜』に化けて古道具屋さんの家へやってきました。お寺の和尚さんに買われていきましたが、火にかけられると大変!
「あちちちちっ!」
熱さに耐えきれず、茶釜からポンッと手足と尻尾が飛び出してしまいました。
元の姿に戻れなくなったタヌキは、古道具屋さんと一緒に見世物小屋を開くことにしました。
「さあさあ、お立ち会い!世にも珍しい分福茶釜の綱渡りだよ!」
傘を持ち、器用に綱を渡るタヌキの姿に、お客さんは大喜びです。
見世物は大評判。古道具屋さんは大金持ちになり、タヌキも毎日お腹いっぱい食べて幸せに暮らしました。
そしてタヌキが天国へ行った後、茶釜はお寺の宝物として大切に大切に飾られたのです。めでたし、めでたし。