深い雪の山道で、心優しい若者が、罠にかかった一羽の鶴を見つけました。
「おお、痛かっただろう。さあ、もう捕まるんじゃないよ」
若者が罠を外してやると、鶴は嬉しそうに空へ飛んでいきました。
ある雪の夜、若者の家に美しい娘がやってきて、二人は夫婦になりました。
娘は、「美しい布を織りますから、決して中を覗かないでください」と固く約束をして、奥の部屋で機(はた)を織り始めました。
娘が織った布はとても高く売れました。しかし若者は、「どうやってあんなに美しい布を織っているのだろう」と不思議に思い、つい約束を破って障子の隙間から覗いてしまいました。
なんとそこには、自分の羽を一本一本抜いて布を織っている、あの時の鶴の姿があったのです。
「私の正体を知られてしまったからには、もうここにはいられません」
娘は鶴の姿に戻ると、若者に悲しいお別れを告げました。
そして、雪の降る冷たい空へと、羽ばたいて帰っていってしまったのです。