昔々、安房の国の鋸山に住む狸の総大将「源五郎」と、清澄山の総大将「お万」は、どちらの山が一番か、どちらの化け術が優れているかを巡って激しく対立していました。ついに二つの山の狸たちは、白黒つけるために「たぬき合戦」を行うことに決めます。
合戦といっても、刀で切り合うわけではありません。それは、相手をいかに驚かせるかという「化け比べ」の術競走でした。鋸山の狸たちは大きな軍勢に化けて山を埋め尽くし、対する清澄山の狸たちは、空を覆うような巨大な入道雲や雷に化けて応戦します。
あまりに激しい化け比べに、麓の村人たちは「空から何かが降ってくる!」「山が動いている!」と大騒ぎ。しかし、あまりに力を使いすぎた狸たちは、最後にはみんなヘトヘトになってしまいました。正体がバレて元の姿に戻った狸たちは、互いの術の素晴らしさを認め合い、「もう喧嘩はやめて、仲良く山を守っていこう」と握手を交わしました。以来、安房の山々には、今でも狸たちの楽しそうな笑い声が響いていると言われています。
📖 紙芝居・読み聞かせ原稿
【その一】の絵を見せながら
「むかしむかし、安房の国に二つの大きな山の勢力がありました。ひとつは鋸山の源五郎。もうひとつは清澄山のお万。二匹はとっても仲が悪く、『わしの術が一番じゃ!』『いいえ、私の方が上よ!』と、毎日ケンカばかりしておりました。」
【その二】の絵を見せながら
「『よし、それなら化け比べで勝負だ!』ついに狸たちの合戦が始まりました。ドロン!ドロン!とあちこちで煙が上がります。ある狸は強そうな侍に、ある狸は恐ろしいお化けに化けて、相手を驚かそうと必死です。村の人たちは『大変だ!山が火事だ!お化けだ!』と大慌て。」
【その三】の絵を見せながら
「見てください!空には山よりも大きな入道雲が現れ、地上には何千人もの武士が押し寄せます。これには源五郎もお万もびっくり!『負けてたまるかー!』と、ありったけの力を振り絞って、空も山もひっくり返るような大騒ぎになりました。」
【その四】の絵を見せながら
「ところが、あまりに力を使いすぎて、最後にはみんなヘトヘト。ポン!と音がして、全員元の狸に戻ってしまいました。『お前の術、なかなかやるな』『あんたこそ、大したものだわ』二匹は顔を見合わせて大笑い。それからは仲良く、安房の山を一緒に守るようになったとさ。おしまい。」。めでたし、めでたし。